ジェン ドブリィ!こんにちは!アリさんです。女子高生にブログを読んでもらうのが今の私の夢です。(変態ではありません。)
ところで皆さんはオスカー・シンドラーってご存じですか?知らない方はスティーブン・スピルバーグ監督の映画「シンドラーのリスト」はどうでしょう。
シンドラーのリストは、実業家のオスカー・シンドラーがユダヤ人を救ったという実際の出来事を、ノンフィクション小説から映画化したものです。
実はそのシンドラーがユダヤ人を雇用していた工場がクラクフに残っていて、現在は博物館として運用されています!展示されている内容は、シンドラーのリスト関連というよりはナチスドイツに支配された時代のクラクフを追体験するといった感じ。
せっかくクラクフへ旅行に来たからには行かねばなりません!
行き方はこちらの記事にて↓

ユダヤ人とは
ポートレイトや家族写真などの思い出が飾ってあります。
当時クラクフには何万人ものユダヤ人が住んでいました。ユダヤ人と呼ばれるのはユダヤ教を信仰している人やその子孫の事で、ユダヤという国の人ではありません。
彼らは世界中に散らばって生活をしてきましたが、特にヨーロッパ各国ではキリスト教の勢力が強い中、自分たちのユダヤ教の生活様式を守らなくてはなりませんでした。
キリスト教信者にとっては、彼らの神イエス・キリストを十字架にかけて殺害したのがユダヤ人であるという憎悪が根強く残っており、ユダヤ人はナチスドイツが反ユダヤ主義を提唱する前から迫害されてきた歴史があります。
そういった背景もあって自分の国がないユダヤ人は立場が弱く、彼らは身を守る為にビジネスの分野に進出しました。するとそこで才能を発揮し、多くの成功者が出て豊かになります。
現代でいうなら、Google、マイクロソフト、フェイスブックから、スターバックスやマクドナルドといった誰もが知る世界企業の創設者はユダヤ人です。
そして知っておきたいのは、シンドラーのリストのメガホンをとったスピルバーグ監督本人もユダヤ人という事。
そんな才能豊かなユダヤ人は、悲しい事にさらに妬まれ迫害の対象となっていきました。
第二次世界大戦の時代へタイムスリップ
まず展示は1939年の第二次世界大戦が勃発した時代へさかのぼります。
写真中央のやや右寄りに、聖マリア教会や織物会館が見えます。
実はこのあたりのクラクフ歴史地区って、世界遺産第一号なんですよ!とはいっても認定されたのは戦後ですが・・・。
第二次世界大戦の戦禍をまぬがれて中世の街並みが残っているクラクフは、さらがらポーランドの京都といったところです。
おっと話がそれましたね。
私はポーランド語が読めないので見た時は何かわからなかったんですが、Google翻訳さんに聞いたら真ん中は軍事議事録、左は身分証明書、右は「8月の再会」って出ました(雑誌???)
右上のピンクの手帳には1939年という紙が貼られています。
よーく見ると、壁に貼られている紙の下部にも「1939」。その上に小さく書かれている「PKP」は、ポーランド国鉄の事です。
トランクも古くてほんとにタイムスリップしたみたい。
ヒツジの角みたいなハンドルのついた自転車。
ドイツのポーランド侵攻
いよいよドイツ軍が出てきました。
第二次世界大戦は1939年9月に、ドイツ軍が突然ポーランドへ侵攻してきた事で開戦しました。
戦力はドイツ軍が圧倒的に強く、戦車を使って乗り込んできます。
一方、ポーランドもただちに兵士を招集して対抗しますが、乗り物は馬。いわゆる騎兵隊です。もしくは徒歩。
おお・・戦車には・・・勝てない・・・。
さらにソ連からも攻め込まれたポーランドはわずか1ヶ月で降伏し、クラクフはナチスドイツに占領されました。
ナチスに占領されたクラクフ
このマーク、見覚えありますよね。ナチスのシンボル「ハーケンクロイツ」です。マジ卍とは違いますよ。
せっかく展示が時代を追ってる中現代の話で申し訳ないんですが、このハーケンクロイツをこんなに大々的に展示できるって実はすごい事なんです。
なぜならビールとソーセージの国ドイツは、ナチス時代には本気で頭がおかしいやつらでしかありませんでしたが、この現代においては過去の過ちを認め(といっても子供や孫世代がですが)、繰り返してはいけないと反省し、アウシュビッツ保全の為にポーランドへ巨額の資金を提供し、首相がアウシュビッツを訪れて追悼するなど正気を取り戻しているわけですね。
一方、街じゅうハーケンクロイツまみれだったナチスドイツ時代を彷彿させるような展示は、ドイツではできないんです。黒歴史すぎてヤダっていえば想像しやすいですかね。
それを被害者であるポーランドがやってるというのが、どれだけ複雑な思いなのか冷静に考えればわかりますよね。
シンドラーのリストの主人公
ここでようやく主人公シンドラーの展示が登場しました。
このシンドラーという人は英雄という事に変わりはないんですけれども、理想を壊しますがめっちゃ遊び人です。
色々事業に手を出しては失敗、リッチなふりして小金が入れば豪遊、奥さんがいるのに浮気しまくり、愛人との間に子供までもうけます。しかも2人も。
そもそも彼はナチス党員だし、この工場だってナチスがユダヤ人から巻き上げたものをシンドラーが安く買った経緯があります。クラクフが占領されてすぐの事です。
工場の開設は戦争の需要に対応できれば一儲けできるという算段で、ユダヤ人を雇ったのだって賃金が安かったからというのがはじまりでした。
ただ裏を返せば、そんなチャラ男の見本のような人が時代の流れに逆らい、最終的には全財産をはたき命すらも懸け、少しでも多くの人を迫害から守ろうとしたという事です。
私にできるかな?
・・・いや。周りに合わせちゃうだろうな・・・。
シンドラーは自分のものさしを見失わず、本当にだめな事には染まらなかったというわけですね。
権力を手にしたナチス親衛隊は我が物顔でクラクフを支配します。
流れている映像を見ていると、まさに旧市街の中央広場が映りました。織物会館の前にびっしり並ぶ親衛隊、街じゅうにハーケンクロイツが掲揚され、広場のシンボル旧市庁舎の塔もデコレーションされていました。
今の平穏で美しい中央広場とは雰囲気があまりに違っていて、まさに乗っ取りとはこの事だと身震いしました。大量の親衛隊がハーケンクロイツの旗を持って街を行進している姿は異様な光景です。
ふと足元を見るといつのまにかハーケンクロイツ一色!
ここに交じりたくなくても避難地帯もなく、ナチス象徴のマークの上に身を置くしかありません。もはや当時の市民の心境まで体感させられています。
むごい・・・。何の罪かはわかりませんが、あきらかな見せしめである事はわかります。権力を誇示して逆らわないように恐怖心を植え付けるのが目的なんでしょう。
この吊るされた人々と共に、笑顔で写真に納まる親衛隊員の記念写真のようなものもありました。どういう神経してるのか理解不能すぎます。
クラクフ中央駅の再現
当然ですが、クラクフに旅行にきたらほぼ間違いなく使うクラクフ中央駅は戦時中にもあったんですよね。電車の窓からは当時の様子が見えるようになっています。
クラクフ中央駅の看板です。
本来はポーランド語でKraków Głównyと書かれますが、ドイツに支配されているのでドイツ語表記にされています。
HbfというのはHauptbahnhof(ハウプトバーンホフ)の略語で「中央駅」という意味です。ドイツに行ったことがある人なら気付くかもしれませんね。
地下へ降りる階段も再現されていますが立ち入りは禁止。
シンドラーのリストに登場する階段
ここでシンドラーのリストの映画を見た人なら見覚えのある階段が出てきます。
「シンドラーはナチス党員のドイツ人だけど、ユダヤ人を自分の工場で雇って保護している」
という噂を聞いた若いユダヤ人女性が、プワシュフ強制収容所(詳細は後編にて)へ連れていかれた両親を助けてほしいと訪ねてくるシーンです。
映画では扉がある場所に受付が設けてあり、女性が「シンドラーに少しでいいから会わせてほしい」と頼みます。
すると階段の上にシンドラーが現れますが、女性の身なりを見てすぐさま受付の担当者に帰ってもらうよう指示します。
女性はなんとかシンドラーに興味をもってもらおうと、友人から借りたドレスで着飾りメイクもばっちりで再び受付へ。
すると、今度は美しい女性を見たシンドラーの態度がコロッと変わり(笑)、部屋へ招き入れます。
女性が招かれた部屋は現在は展示室になっていますが、作中ではシンドラーの執務机が置かれていました。
シンドラーはウキウキしながら好意的に女性に飲みものをすすめ、「何の用かな?」と問いかけます。
女性はシンドラーに、自分はユダヤ人だけれどそれを隠して生きている事、シンドラーの噂を聞いてやってきた事、両親をプワシュフ強制収容所から救い出してほしい事を話しました。
するとシンドラーは、何のことだ、私はただの経営者だ、出ていけ!と女性を追い出してしまいます。そんな噂が広まれば、下手するとシンドラーも反逆罪で強制収容所へ連れていかれてしまい危険なのです。
そして、経営を任せていたシンドラーの右腕のユダヤ人会計士、イツァーク・シュテルン(作中ではイザック・シュターン)に詰め寄り、
「君が子供やユダヤ教の牧師を熟練工と偽って工場へ招き入れているせいで私の身が危ないんだ!私が気づいてないとでも!?」
とブチギレます。
しかしそんな風に怒りつつも、女性が逃げ出す際に落としていった両親の名前が書かれたメモをポケットから取り出し
「パールマンを雇え。夫婦共にだ。」とイツァーク・シュテルンに指示します。
もちろん強制収容所から連れ出すのは容易ではありませんが、シンドラーは「名簿係にこれを。」と、ワイロに使えるよう自分の腕から時計を外して渡しました。
その後、無事にパールマン夫妻がシンドラーの工場へ入っていく姿を、陰からこっそり見守る女性の姿も映ります。ええ話や・・・!
その後もシンドラーは自身のナチス幹部との人脈を使い、結局1,200人もの人を救う事になるのですが、それはまたあとのおはなし。
長くなったので一旦区切ります。後半はこちら↓

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